サッカーの聖地で、再び相まみえる両雄
2026年3月31日、サッカーの聖地ウェンブリー・スタジアムで、日本代表とイングランド代表の国際親善試合が開催されることが決定した。FIFAランキング4位の強豪イングランド代表との対戦は、日本代表にとってワールドカップイヤーの幕開けを飾る重要な一戦となる。16年ぶりとなる両国の対戦は、多くのサッカーファンにとって待望の瞬間であり、日本代表の現在地を測る絶好の機会となるだろう。
トゥヘル監督のコメントと英国メディアの反応
トゥヘル監督のコメント
イングランド代表を率いるトーマス・トゥヘル監督は、この試合の決定に際して次のようにコメントしている。
「ワールドカップイヤーの全体像を形成していくなかで、この2試合が確定したことを本当に嬉しく思います。世界ランキングトップ20のチームと対戦したいという思いがありましたし、ヨーロッパ以外の相手との対戦で自分たちを試す機会も求めていました。金曜日の組分け抽選を経て、来年への期待はますます高まっていますし、ウェンブリーでふたたびファンの皆さんにお会いできるのが待ち遠しいです」
このコメントから、トゥヘル監督が日本代表を高く評価し、ワールドカップ本大会を見据えた重要なテストマッチと位置づけていることがうかがえる。
英国メディアの反応
英国メディアもこの一戦に注目している。『BBC』は「トゥヘル監督、日本戦で新たな戦術を試すか」と題した記事で、イングランド代表が日本代表を相手にどのような戦いを見せるか、その戦術的な側面に焦点を当てている。また、『The Guardian』は「ケインとベリンガム、日本戦で共演なるか」と、イングランド代表のスター選手たちの出場に期待を寄せている。
イングランド代表の顔ぶれ
注目選手
| 選手名 | 所属クラブ | ポジション | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ハリー・ケイン | バイエルン・ミュンヘン | FW | 世界最高のストライカーの一人。得点能力だけでなく、ポストプレーやアシスト能力も高い。 |
| ジュード・ベリンガム | レアル・マドリード | MF | 攻守にわたって高い能力を発揮する万能型MF。卓越したボールコントロールと戦術眼を誇る。 |
| フィル・フォーデン | マンチェスター・シティ | MF/FW | 切れ味鋭いドリブルと正確なパスでチャンスを演出する若き天才。 |
| デクラン・ライス | アーセナル | MF | 豊富な運動量とボール奪取能力で中盤を支配する守備的MF。 |
| ブカヨ・サカ | アーセナル | FW | スピードとテクニックを兼ね備えたウインガー。多彩な攻撃パターンで相手を翻弄する。 |
最新メンバー(2025年11月7日発表)
| ポジション | 選手名 | 所属クラブ |
|---|---|---|
| GK | ディーン・ヘンダーソン | クリスタル・パレス |
| GK | ジョーダン・ピックフォード | エバートン |
| GK | ニック・ポープ | ニューカッスル |
| DF | ダン・バーン | ニューカッスル |
| DF | マーク・グエヒ | クリスタル・パレス |
| DF | リース・ジェームズ | チェルシー |
| DF | エズリ・コンサ | アストン・ビラ |
| DF | ニコ・オライリー | マンチェスター・C |
| DF | ジャレル・クアンサー | レバークーゼン |
| DF | ジェド・スペンス | トッテナム |
| DF | ジョン・ストーンズ | マンチェスター・C |
| MF | エリオット・アンダーソン | N・フォレスト |
| MF | ジュード・ベリンガム | R・マドリー |
| MF | ジョーダン・ヘンダーソン | ブレントフォード |
| MF | デクラン・ライス | アーセナル |
| MF | モーガン・ロジャーズ | アストン・ビラ |
| MF | アレックス・スコット | ボーンマス |
| MF | アダム・ウォートン | クリスタル・パレス |
| FW | ジャロッド・ボーウェン | ウエスト・ハム |
| FW | エベレチ・エゼ | アーセナル |
| FW | アンソニー・ゴードン | ニューカッスル |
| FW | フィル・フォーデン | マンチェスター・C |
| FW | ハリー・ケイン | バイエルン |
| FW | マーカス・ラッシュフォード | バルセロナ |
| FW | ブカヨ・サカ | アーセナル |
イングランド代表と過去の戦績
日本代表とイングランド代表の過去の対戦成績は、日本の0勝1分け2敗。1995年のアンブロカップでの初対戦から、日本代表はまだイングランド代表に勝利したことがない。
| 開催日 | 大会名 | 対戦カード | スコア | 得点者(日本) |
|---|---|---|---|---|
| 1995年6月3日 | アンブロカップ | イングランド vs 日本 | 2-1 | 井原正巳 |
| 2004年6月1日 | 国際親善試合 | イングランド vs 日本 | 1-1 | 小野伸二 |
| 2010年5月30日 | 国際親善試合 | イングランド vs 日本 | 2-1 | 田中マルクス闘莉王 |
聖地ウェンブリーでのアンブロカップの歴史
1995年6月3日、日本代表は初めてサッカーの聖地ウェンブリー・スタジアムのピッチに立った。アンブロカップと名付けられた国際トーナメントのオープニングマッチで、開催国のイングランド代表と対戦したのだ。当時、W杯出場経験のなかった日本代表にとって、この一戦は欧州の一流舞台に初めて立った記念すべき瞬間だった。
試合は、後半3分にダレン・アンダートンに先制点を許すも、後半17分に三浦知良のCKから井原正巳が同点ヘッドを決め、一時は同点に追いついた。しかし、試合終了間際にデイビッド・プラットに決勝ゴールを決められ、1-2で敗れた。この試合は、日本代表が世界の強豪と互角に渡り合った試合として、今も語り継がれている。
プレミアリーグで活躍する日本人選手
現在、プレミアリーグでは多くの日本人選手が活躍している。遠藤航(リヴァプール)、三笘薫(ブライトン)、鎌田大地(クリスタル・パレス)、高井幸大(トッテナム)、田中碧(リーズ・ユナイテッド)など、各クラブで重要な役割を担っている。彼らの活躍が、今回のテストマッチ実現の大きな要因となったことは間違いない。
なぜイングランド代表とテストマッチが組めたかの考察
今回のテストマッチが実現した背景には、いくつかの要因が考えられる。
1. 日本人選手の評価向上
プレミアリーグをはじめとする欧州トップリーグでの日本人選手の活躍により、日本代表の実力が正当に評価されるようになった。遠藤航はリヴァプールの中盤を支え、三笘薫はブライトンでその卓越したドリブル技術を披露している。こうした選手たちの活躍が、イングランドサッカー協会に日本代表との対戦を魅力的に感じさせた。
2. トゥヘル監督の意向
トゥヘル監督が「ヨーロッパ以外の相手との対戦で自分たちを試す機会」を求めていたことも大きい。ワールドカップ本大会では、欧州以外の国々との対戦も避けられない。日本代表は、アジアのトップチームとして、イングランド代表にとって格好のテスト相手となる。
3. 商業的価値
日本市場の大きさと、日本代表の注目度の高さが、イングランドサッカー協会にとって魅力的だった。日本では、イングランド・プレミアリーグの人気が非常に高く、多くのファンがこの試合に注目することが予想される。
この試合の持つ重要な意味
この試合は、日本代表にとって単なるテストマッチ以上の重要な意味を持つ。
1. 現在地の確認
世界トップクラスのイングランド代表と対戦することで、日本代表の現在地を正確に把握することができる。2026年ワールドカップのグループFでは、オランダ、チュニジア、欧州プレーオフB勝者と対戦する。イングランド代表との対戦は、これらの強豪国との戦いに向けた重要な指標となる。
2. 自信の獲得
勝利すれば、ワールドカップ本大会に向けて大きな自信となる。日本代表は過去にイングランド代表に勝利したことがない。この歴史的な初勝利を挙げることができれば、チームの士気は大いに高まるだろう。
3. 戦術の浸透
新たな戦術や選手を試す絶好の機会となる。森保一監督は、この試合で様々な戦術オプションを試すことができる。ワールドカップ本大会では、相手に応じて柔軟に戦術を変える必要がある。イングランド代表との対戦は、そのための貴重な実戦経験となる。
イングランド代表のW杯の組み合わせ
イングランド代表は、2026年W杯のグループステージで、クロアチア、ガーナ、パナマと同じグループLに入っている。クロアチアは2018年W杯準優勝、2022年W杯3位の強豪であり、イングランド代表にとっても簡単な相手ではない。日本代表との親善試合は、こうした強豪国との対戦に向けた重要な準備となる。
トゥヘル監督の経歴と名将ぶり
トーマス・トゥヘル監督は、1973年8月29日生まれのドイツ人監督である。マインツ、ドルトムント、パリ・サンジェルマン、チェルシー、バイエルン・ミュンヘンなど、数々のビッグクラブを率いてきた世界的な名将だ。
2020-21シーズンにはチェルシーをUEFAチャンピオンズリーグ優勝に導き、その手腕は高く評価されている。戦術家として知られ、対戦相手に応じて柔軟に戦術を変えることができる。また、若手選手の育成にも定評があり、多くの才能を開花させてきた。
トゥヘル監督の戦術的特徴は、高い位置からのプレッシングと、ボール保持率を重視したポゼッションサッカーにある。また、選手個々の能力を最大限に引き出すことにも長けており、チェルシー時代にはカイ・ハフェルツやメイソン・マウントなどの若手選手を成長させた。
まとめ
日本代表にとって、イングランド代表とのテストマッチは、ワールドカップ本大会に向けて大きな意味を持つ一戦となる。聖地ウェンブリーで、日本代表がどのような戦いを見せるのか、今から楽しみでならない。
この試合は、日本代表が世界のトップレベルでどこまで通用するかを測る重要な機会である。イングランド代表に初勝利を挙げることができれば、2026年ワールドカップでのベスト8進出という目標に向けて、大きな一歩を踏み出すことができるだろう。

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